◆目的
国土審議会では、1962年池田内閣による全国総合開発計画(一全総)から数えて8番目の国土計画(概ね10年間にわたる長期計画)となる「新たな国土形成計画(全国計画)」および「第六次国土利用計画」を調査審議するための計画部会を設置、令和3年9月の第1回から議論を進め、第17回部会†(令和5年3月7日)にはじめて骨子案を作成、今夏の閣議決定を目指している。
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/kokudoseisaku01_sg_000322.html
骨子案は、まず国土の現状を「時代の重大な岐路に立つ」と認識し、新たな国土形成計画に求められることは「新しい時代の国土づくりに向けた指針となる国土の将来ビジョンを示す新たな計画」であるとする。そして、目指す国土の姿として「新時代に地域力をつなぐ国土」、国土構造の基本構想として「シームレスな拠点連結型国土」を提示する。このような国土づくりに向けて、骨子案が重点テーマの第一に掲げていることが「デジタルとリアルが融合した地域生活圏の形成」であり、これこそがまさに故中村彰二朗前代表理事が常に示唆してきたことにほかならない。
骨子案によれば、「新たな国土形成計画」に基づいた地域生活圏には、「『共』の視点からの地域経営」を行うためにサービスや活動を繋げること、また、「デジタルの徹底活用によるリアルの地域空間の質的向上」を目指すこと、というふたつの発想が必要だとされている。
ところで、スーパーシティからデジタル田園都市国家構想への施策の変遷や実際の先進的な自治体の活動を見ても、地域経営は、共助・オプトイン・デジタル活用による相互に繋がるサービスや活動に向かっており、骨子案のいう発想は当を得ている。しかし、一方、今後残された課題として、従来内閣府が取りまとめているスマートシティ5事業やデジタル田園都市国家構想推進交付金事業(主にTYPE1)は多数の自治体が類似した事業を多数行っており、これらを整理し相互に繋がる段階に到達させるための政策を立案する必要がある。また、内閣官房と経済産業省、産業構造審議会は「新たな国土形成計画」と並行して「デジタル社会実装基盤全国総合整備計画」(デジタル全総)を策定中であり、総務省他の計画とのすり合わせも必要である。
本分科会は、このように「新たな国土形成計画」を中心として、共助・オプトイン・デジタル活用による相互に繋がるサービスや活動の絵姿を描き、その実現に向けた施策として政府に何を働き掛けていくべきかを議論し、可能であれば国土交通省およびIT連を通じたデジタル庁への提言としてとりまとめを行う。また、議論の過程では、地域生活圏においてリアル空間の質的向上をもたらすデジタル技術をもつスタートアップ企業等とのコミュニケーションを図ることを試みたい。
◆活動内容
① 「新たな国土形成計画」を中心とした地域生活圏に関する政策の情報共有
② 地域生活圏においてリアル空間の質的向上をもたらすデジタル技術の整理
③ ②を各地域で実現するための社会実装を加速する政策案の作成
◆スケジュール
・6月~8月 「新たな国土形成計画」等に関する勉強会
・9月~12月 地域生活圏におけるデジタル技術活用の現在と将来についての検討
・1月~3月 とりまとめ