日本の生産年齢人口は、2020年の約7,500万人から2040年には約6,200万人へと、約1,300万人の減少が見込まれている。この人口減少により、地域の人口密度が低下し、公共サービスなどの生産性の低下を招く可能性があり、必要な公共サービスの提供が困難になることも想定されている。
こうした状況を踏まえ、デジタル行財政改革会議では、デジタル技術を最大限に活用することで、公共サービスの維持・強化や地域経済の活性化を図り、社会変革の実現を目指して多岐にわたる議論が行われている。その中の一つとして、現場の負担を軽減するため、地域を支える公共サービスに関して、システムの統一化・共通化が議論されている。この取り組みは、標準20業務以外の自治体業務の中でも特に効果が高いと判断されたものについて、国主導で整備し、自治体の負担軽減を図ることを目的としている。
しかしながら、自治体には依然として多くの業務が存在しており、今回の標準化やデジタル行財政改革の議論を経ても、デジタル化が進まない業務が数多く残されている。特に「バックヤード」と呼ばれる業務に関しては、各自治体の自助努力に委ねられている部分が多いのが現状である。
こうした中、SaaS利活用研究会は2024年度に自治体業務標準化研究会の支援を受け、自治体業務におけるSaaS活用が適していると想定される事業領域のMAPの作成を行った。この成果を受けて、2025年には国・地方デジタル共通基盤推進連絡協議会が進める共通化の動きを注視しながら、共通化の対象外となる業務領域について、既存の民間サービス(主にSaaS)を活用する、もしくは業務標準化テンプレートを適用したローコードのSaaSサービスを導入するための整理と提案を進める。
これにより、自治体におけるDX推進を支援し、行政機関のデジタル化を促進するとともに、行政コストの削減に寄与することを目指している。
◆活動内容
● 自治体における、デジタル化推進のMAPの作成
- 2024年に作成したSaaS活用が適していると想定される事業領域のMAPをベースに、自治体に調査をし、また自治体業務業化研究会の研究成果も加味し事業領域の分類を完成させる。
- MAPは標準化領域/国主導での共通化の領域/民間SaaS活用領域/ローコード雛形活用領域に整理し、特に民間SaaS活用領域/ローコード雛形活用領域におけるデジタル化支援の一助になるものを作成する。
● 行政機関におけるSaaSサービスの利用促進に関する課題・阻害要因などを整理
● 行政機関向けSaaS利用における活用シナリオの作成