■担当理事・主査
中村 彰二朗 アクセンチュア福島イノベーションセンター センター長
■目的・目標
日本は1961年に導入された「国民皆保険」制度のおかげで国民の多くが医療を受けることができるようになった。その結果として、日本は国民一人ひとりの健康医療に対する意識は、健康をケアする予防医療ではなく、病気発生後にその病気を治療する医療体制が出来上がった。予防医療のスタートとして健康診断が実施されてきたが、その結果を受けて通達される再検査や健康指導の多くは実行されずに放置され、早期予防が徹底されることがなく生活習慣病は全体の30%を占めるありさまである。現在の日本国民の健康および予防医療に対する意識は、低いといわざるを得ない。
そんな中、日本の社会保障費は年間40兆円を越え2025年には50兆円に達すると言われている。そして、65歳以上の医療費が全体の55%に達しており、それ以上の世代での医療費は急激に跳ね上がっている。これを改善するためには予防医療に大幅シフトすることによって、急激な伸びを抑える必要がある。医療報酬制度の予防医療への範囲拡大や国民意識を予防医療へシフトさせるためのインセンティブ、日々の健康データの収集によってデータ自体の充実と精度を向上させることも必要となる。そこで、ウェアラブルをはじめとしたIoTを活用したデータ収集のためのシステム、データアナリティクス、レコメンデーションサービスが必要となる。新たなビジネスモデルとしては、このサービスへ参加する国民には、保険料金が軽減されるなどの新たなインセンティブを設ける必要も出てくるかもしれない。
当分科会では、IoTを課題解決のツールとして最大限活用し、国民一人ひとりの予防医療への意識改革を促し、社会保障費(医療費)問題解決のために提言と実証を進めます。